第126回お寺めぐり『西の由緒あるお寺で住職様のお話を聴き、写経を体験する』

平成29年9月9日(土)  三島市加屋町 林光寺(浄土宗)

13時、三島広小路駅に集合。残暑厳しい中、林光寺に向かう。

途中、木町観音堂を拝観する。

林光寺の開山故信上人は、武田信玄の五男信景で、甲斐国で得度し、遠州相良の林光寺に入り、のち三島に小庵を建てて念仏説法を行った。

武田家が、織田、徳川の連合軍に敗れ衰退の一途をたどる羽目になったが、故信は、武田家の再興を選ばず仏の道を選び、三島に留まり加屋町に本堂を建立し、林光寺と称した。家臣もまた三島に留まった。

林光寺の門前に立つと、すぐに十念橋という小さな橋があり、お寺を訪ねる人は必ずそこを渡る。そのあと山門をくぐると右側に入江長八の孫弟子の作となる漆喰鏝絵が施された軒壁の下に西国三十三ヵ観音像が並んでいる。

参道の左側は墓地になっていて、武田氏ゆかりの寺にふさわしく、開山上人、歴代上人、武田信玄の孫の墓があり、また、吉原守拙、栗原忠治(三島生まれの画家)等の著名人の墓、唯念行者、木喰観正、徳本行者の名号碑などがある。

第33世となる林光寺のご住職は、本堂で出迎えてくださり、ご住職の読経の中、焼香させていただく。

色々な宗派の方がみえると思いますからと前置きされ、宗派にとらわれずに仏教についてお話ししますといわれた。

住職をされる前のお仕事を通して得られた、幅広いネットワークを今も大切にされ、それを生かしながらお寺を守っているとおっしゃっていた。

インドやスリランカの仏教の関係者とも常に情報交換をされ、20年、30年後の仏教の話や世界の話をされているそうだ。インドやスリランカの彫刻や絵なども見せていただいた。

お寺は何度も火災にあい、寺宝というものにはあまり縁が無いけれど、人とのつながりがあって、山岡鉄舟の屏風を預かることになったそうだ。それもいただくのではなく、大切に守っていくことだといわれた。

本堂は、ご住職がカナダまで行って調達されたカナダヒバで造られ、細部に至るまでこだわったといわれる、まだ新しい重厚な造りなっている。

寺は手を合わせる聖地であり、皆が集まる場所、人々が自由に出入りでき、語り合うことができる場所であるのが理想の姿だそうだ。縁遠くなっても、つながりがあることでまた縁が復活することがあるといわれた。

最後に、ハスの花は人生観を表していて、人が生まれてから死ぬまでの道のりの険しさが、ハスがきれいに花を咲かせる道のりと似ているので、仏教ではハスの花を多く用いているのだそうだ。

ご住職の穏やかだが熱心なお話を伺い、我々もまた、一つのつながりでこうしてお話を伺っているのだと改めて感じた。残念ながら、予定されていた写経は、時間がなく次回に延期となった。

写経場の一角に故信上人が、父信玄供養のために祀った「厄除け川中島地蔵尊」がある。素朴な姿は、お参りする私たちを穏やかで優しい気持ちにさせてくれた。

S.Sさん

 

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