第201回お寺めぐり『中郷の古刹を訪ね、歴史を知る』

令和2年10月17日(土) 安久 長福寺(臨済宗建長寺派)

小雨の中訪ねた長福寺は、安久の住宅地の真ん中にあった。

寺門を入ると右手に庚申塔が立っていて、そこには猿と鶏が浮き彫りになっていた。元禄2年に寄進されたものとの事。珍しいと思った。

長福寺は、1365年薬師堂として建立された。江戸中期、安久生まれの秋山富南の祖先の供養のために建立されたようだ。富南は、『豆州志稿』を編さんしたり、地元に尽くしたりした人である。

その後、長福寺は無住の時代が続き、1981年(昭和56年)、堂宇が新築され、川原ヶ谷寳鏡院の管理となった。

本尊は薬師如来。右側に十一面観音、左に阿弥陀如来で三尊を祀っている。年代不詳であるが、田島整先生によると,平安仏ではないかとの事。有名な仏師の作ではないが、地域の人たちの信仰に支えられていたようである。(寳鏡院御住職の法話より)

宗派を問わず、天理教の人々や持珠院の人々も長福寺に埋葬されていることからも、地元の人々の信仰の深さが推察できる。

普段お厨子は閉められて、檀家さんですら30年前に撮った三尊の写真しか拝めなかった人もいたそうである。今回は、阿弥陀如来は修繕のため長福寺にはいらっしゃらなかったが、仏様(二尊)を直接拝めた事は『特別拝観』そのものであり、本当に有難かった。

これら仏像は一木造りで、遠い昔から人々の前に立っていた。その姿に手を合わせ救われた多くの人々の気持ちが伝わってくる、尊く立派な三尊であると強く感じた。

Y.Mさん

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